2019年11月1日 更新

【フォトエッセイ】大人になっても忘れない、食後30分の家族時間

【フォトエッセイ】大人になっても忘れない、食後30分の家族時間

慌ただしく、気づけばあっという間に過ぎてしまう毎日。だからこそ、大切にしたいのは、日々の何気ない瞬間なのかもしれない。例えば、食後30分を家族みんなでゆっくり過ごせたら…。小学校1年生と保育園生のお子さんがいる村田家にお邪魔した写真家・中川正子さんが、家族の団らんを切り取りながら、自身の幼少期の記憶、母となった自分を振り返ります。

パスタを食べるとうかちゃん

「あっという間だよ、終わると」

 

子育ての先輩たちから口々に聞くこの言葉を、わたしもしみじみと実感するようになってきた。

村田家の食事風景

こんなふうに家族がそろって食事をするのはあと数年なのだろう。

 

そんなカウントダウンの気持ちでいつも、いる。

パスタを食べるとうかちゃん、さとなりくん

「ねえねえ、ママ」

「なになに?食べている時はちゃんと座ってね」

「ああ、こぼしちゃったね、ちゃんと拭いて」

「○○ちゃんがこんなこと言ってね」

「○○ちゃんって誰だっけ、ごめん。あ、同じクラスの子ね」

「おかわりちょうだい」

「はいはい、了解」

 

我が家の食事の時間は、いつもこんなかんじ。

笑顔のさとなりくん

村田さんのお宅に伺って、似たものを感じた。

 

楽しい食事の時間。子どものエネルギーでずっとバタバタ、何やら忙しい。

 

ダイニングテーブルじゃなくて、ローテーブルでごはんを食べちゃうところも一緒。

 

その方が子どもたちは食べやすいし、話も弾む感じがする。たわいもない話だけれど。

食器を運ぶとうかちゃん、さとなりくん

とうかちゃんは、1年生ながらまるで、小さなアシスタント並みに動ける。会話など立派な女子トークそのもの。

 

でも、子供らしさも随所にのぞきつつ。

 

年中のさとなりくんは、元気いっぱい。

わたしの息子は9歳になった。

この前まで、ただの赤ちゃんだった気がするのに一体いつの間に、とよく思う。

 

大人びた発言、気遣いすら感じられるふるまい。

ハグはさせてくれるけれど、それは、ママがしたいならいいよ、という態度。

 

きっと彼は数年後にはまた、ぐっと成長するのだろう。

 

当たり前みたいなこんな日々、ずっと続かないんだよなと思いながらも、

 

毎日の忙しさに、暮らしはすべるように進んでいく。

食べ終わった食器

だからこそ、食後の団らんの時間を大切にしたい。

magicaでつけおき

汚れた食器は30分つけおきすることにする。何かをしながらではなく、座って、子どもの言葉にきちんと耳を傾けたい。

笑顔のとうかちゃん、さとなりくん

わたしの実家では、母はいつも食後に果物やデザートを出してくれた。

忙しくても必ず。

お茶を入れるお母さん

用意されたそれらを食べながら、

 

トランプをしたり、ゲームをしたり、ただ話したり。

トランプで楽しむ村田家

だらだらしながら兄弟喧嘩もしょっちゅうしたけれど、それも今となってはよい思い出。

トランプを楽しむとうかちゃん

テレビがうるさくついていたりするのだけれど、

 

そういうときに限ってわたしも何か、大事な話をしてみたり。

トランプを楽しむお母さん

食後の短いその時間、家事全般を切り盛りしていつも忙しくしている母が、一緒に座ってくれることが何よりうれしかった。

 

そんな記憶があるから、母になったわたしもその習慣は受け継いでいる。

トランプを楽しむさとなりくん

息子も、わたしが落ち着いた瞬間を見計らうかのように、唐突に打ち明け話のようなことをする時がある。

 

あ、これは聞かないと。わたしはさりげなく、しっかりと耳を傾ける。

ダンスを披露するとうかちゃん、さとなりくん

村田家では、ダンスを習っている2人が両親に踊りを披露する場面があった。

 

例えばいつか、高校生になった2人は、この景色を覚えているのだろうか。その記憶はどのくらい、くっきりしているのだろう。

 

そんなふうに思いながらシャッターを切った。

村田家の思い出の写真

子どものころのあたたかい記憶は、人生をしっかりと支えてくれる背骨だとわたしは信じている。

 

特別な何かはないけれど、ゆったりとみんなが並んでくつろいでいた、いつか当たり前ではなくなる大切な時間。

 

その景色が大人になった時の子どもたちの心を、あたためてくれたらいいなと思う。

 

撮影:中川正子 

編集:ノオト

写真家・中川正子

書いた人:中川正子

写真家。自然な表情をとらえたポートレート、光る日々のスライス、美しいランドスケープを得意とする。写真展を定期的に行い、雑誌、広告、書籍など多ジャンルで活動中。2011 3 月より拠点を岡山に移し、国内外を旅する日々。写真集の最新作は「Rippling」、そのほか「新世界」「IMMIGRANTS」「ダレオド」などがある。文章執筆の仕事も多数。fua accessoryとのコラボレーションで短編「モキク」を発表。

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