2017年12月12日 更新

我慢しないベジタリアン、フレキシタリアンなライフスタイルが発展中

Rhythm
今年の6月、当コラムで「ロンドンではベジタリアンが急増中!」というレポートをお届けしました。あの時点でわが家の女子18歳は1年以上前からベジタリアンでした。もうひとりの男子19歳はお肉が大好きで葉物野菜が大嫌いなのでベジタリアンなど目指さないだろうと思っていたら、2ヶ月ほど前に動物性の食品を一切とらないまさかのビーガン宣言。 卵も乳製品もとらないビーガンとは思い切ったなと驚きましたが、彼が家をシェアしている友だちの半数がビーガンで、学生の多い東ロンドンにはビーガンレストランも多いので、「全然不自由ないよ」とのこと。意外にも続いています。 子どもたちからの影響もあるのでしょう、今度は牛肉は地球温暖化に最悪というドキュメンタリーを観たパートナーが「もう牛肉は食べない!」とこちらも宣言。ステーキフリットが大好きなフランス人おじさんなのに、けなげに努力しています。

フレキシブルだから「フレキシタリアン」

そんな理由で、ほぼ毎日料理をする我が家の献立もこのベジタリアンブームに乗ってかなり変化中です。以前から赤身肉は少なめ、お肉や乳製品・卵はオーガニックかつフリーレンジのもの…と気をつけてはいましたが、料理当番の大人ふたりは野菜がメインの献立をいま必死に開拓しているところです。 写真:いつも満席、斬新なレシピ本も大ヒットを続けている超人気レストラン「オットレンギ」もメニューの過半数がベジタリアン。これは万願寺とうがらしに似た中近東のグリーンペッパーが主役の一品。すばらしく美味でした! けれど、子どもが不在の日は、大人ふたりで鶏肉を食べたりしますし、先日はボーンマロー(牛の骨髄)のローストをサワードウのトーストに乗せて赤ワインというのもやってしまいました。時々なら、いいよね?という禁断の味覚です。 私たちのような、なるべく菜食を増やしながらもときどきはまだお肉も食べてしまう、肉食を完全に止めるつもりは今のところないけれどなるべく野菜を中心にしたい、という食スタイルには、ベジタリアンっぽいんだけれど、フレキシブルだから「フレキシタリアン(Flexitarian)」という名前もつき、広まってきました。 一昔前までなら、ベジタリアンを目指すなら完璧にやらないといけないような、ちょっとでもお肉を食べたら失格という雰囲気がありました。でも、動機が自分の健康のためでも動物や環境のためでも、少しでもお肉を減らすことが確実にプラスになるという認識が広まり、完璧にできなくてもいいじゃない、だんだん変わっていければとポジティブに捉えられるようになってきているのです。

朝ごはんだけ、夕方までビーガンというアプローチも

フレキシタリアンになろうという運動も盛んです。たとえばポール・マッカートニーやオバマ元大統領も呼びかけ人になっていた「ミートフリー・マンデー(月曜日はお肉なし日)」はテレビや新聞などでも大きく紹介されていたし、新年の抱負を決めるのが好きな英国人の間では、クリスマスのごちそう太り解消の狙いも込めて、1月いっぱいビーガンになる「ビガニュアリー(ビーガン+1月のジャニュラリーの造語)」も話題になっていました。 写真:バターの代わりにパンに塗ったり、ソースのベースに使うとコクを出せるナッツバターも次々に登場。 また、朝ごはんだけ、あるいは夕方6時までは毎日ビーガンにしてみようという呼びかけがあったり、Jay-Zとビヨンセが22日間のお試しビーガンに挑戦することを発表したり、いろいろなアプローチが広がっているのも興味深いところです。 Yummly、bon apétitなど人気のレシピサイトでも、ベジタリアンやビーガンの写真も美しいレシピが急増していたり、レストランやカフェなどでも、ベジタリアンなメニューを全く置いていないというところは少数派になってきていて、環境的にもフレキシタリアンならすぐにも挑戦しやすくなってきています。 写真:豆腐やグルテンなどを使ったベジタリアン用ソーセージなどは大抵のスーパーに棚ができていますし、キノコの仲間の菌糸類を培養したタンパク質を使った「クオーン」(写真)というブランドはチキンナゲットや魚などフレーバーを増やし、直近の売上が年20%アップと好業績と発表しています。

このブームが新しい食文化を創っている!

どんな野菜や穀物をどう調理すれば、食べごたえのある献立ができるか。知的な挑戦としても面白く、カリフラワーをステーキにしたりズッキーニを麺にしたり、ナッツでクリームを作ったり、新鮮なおいしさに出会えるのもベジタリアンが広まっている理由のひとつでもありそうです。実際、このブームでイギリスの食文化の幅が一気に広まっています。 肉食を減らすことで、肥満やガン、循環器疾患、糖尿病などの可能性が下がり、気候変動など環境の悪化を遅らせることができ、劣悪な環境で苦しむ動物が減り、世界人口の爆発が続いている中で食糧不足を緩和できて、面白く、おいしい。フレキシタリアンの波が日本にも早く到着して、和食ならではの新世代ベジタリアンレシピが続々誕生する日が待ち遠しいところです。 文・写真:青木陽子
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